雨庭について
「雨庭(あめにわ)」をご存じでしょうか?
雨庭について知り、作り方を学び、日本全国に雨庭を一緒に広めていきましょう。
雨庭について
雨庭とは、屋根やアスファルトなどに降った雨水を、排水路や河川に直接放流させず、一時的に貯留したり、浸透させるための庭や空間のことを指します。
通常、屋根やアスファルトなどに降った雨水は、雨樋や排水管を通って水路や河川へ、直接すみやかに排出されることになっています。豪雨の際には河川に多くの雨が集中して流れ込み、一気に河川の水量が増加してしまいます。それに対し、雨庭では、屋根などに降った雨水を取り入れ、窪地などに一時的に溜めたり、土壌に浸透させることで流出を抑え、またスピードを遅らせることで洪水を軽減することができます。
さらに、河川へ排出させず地下に浸透させるため、地下水かん養効果も期待されます。降った雨が地中にしみ込み湧水となる。健全な水循環の形成にも効果的です。
さらに、生き物や在来植物の生息場所となり自然生態系の劣化を抑えて生物多様性を保全する、ヒートアイランド現象を緩和するなど多機能を発揮します。緑豊かな庭が増え、潤いのあるまちづくりにもつながります。様々な世代や人が関わる機会も生まれるかもしれません。
このような雨庭は、一つだけでは地域に対して大きな治水効果は発揮されません。流域のさまざまな場所につくられることで流域治水としての効果が期待されます。みんなで協力して取り組むことが大切だと考えています。
雨庭の作り方
ここでは、一般的な雨庭の形態として、屋根に降った雨水を集めて貯めて浸透させる窪地型の大まかな作り方をご紹介します。雨庭パートナーシップのワーキンググループでは、雨庭整備や植栽のガイドライン作成を進めています。
1.場所を確認する
雨庭を作る場所について確認します。
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集水面積:屋根面積などの雨が集まる広さ
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導水施設:雨樋の場所や素材・太さ、どうやって雨庭まで導くか
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排水施設:雨庭からあふれた場合にどこへ排水するか
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想定する雨庭の場所:使える面積、地下の埋設物など
2.土壌の状態や浸透能力を確認する
土を掘り、大まかに土壌の状態を確認します。固さや色、砂が多いのか、粘土質なのか。
また、土壌の浸透能力を調査します。穴を掘って水を入れ、浸透する速さを測定する方法や、器具を用いて測定する方法などがあります。
3.大きさや深さを決める
大きさ、深さを決めます。
例えば熊本県立大学で設置に設置された雨庭の面積は、集水屋根面積に対して1/5程度の広さです。他の事例でもおよそ1/5〜1/10程度の広さとなっています。あくまでも目安ですが、オーバーフロー(あふれた際の排水)がきちんとされていれば、この程度の広さを設けることで豪雨の際にも効果があると考えられます。
深さは、使い勝手や安全性から20cm程度までが良いともされています。
4.流入・流出口を決める
雨樋を切断し、導水用パイプや石を敷いた溝などを接続して雨庭へ流し入れます。オーバーフローのために流出口を設ける場合は、既存の排水施設を利用し、うまく流れるような方法を考えます。
5.雨庭の形や植物を考える
雨庭の形は敷地の形状に基づいて自由に決めます。建物に近接する場合は、基礎への影響をおさえるために1.5〜3m程度離すほうがよいとされています。のり面はゆるやかな斜面にします。
植栽は種子が流れとともに敷地外へ流出することもあるため、できるだけ郷土の植物(在来種)や非侵略的な園芸種が望ましいとされています。郷土の植物は生物多様性の保全に寄与でき、環境条件にも適しているため維持管理が容易になる場合もあります。
6.掘削・土壌改良・植栽を行う
大まかな形が決まったら掘削します。窪地の周りに小さな土手をつくり侵食やあふれ出るのを防ぐなど、流入口(雨樋)から流出口までの水の流れ、高さを調整します。
掘削した面の上部に植栽土壌を設けて植栽します。土壌浸透能力が低い場合は、掘削土に堆肥や砂を混ぜるなど、保水・排水能力を高めるために土壌改良します。
7.維持管理をする
雨天時の雨庭の様子を観察し、きちんと機能しているか確認します。
また、草取りなどの維持管理を行います。植物が充分に生育することで浸透能力の維持にも繋がります。ぜひ、雨庭認定にもご応募ください。
雨庭整備ガイドライン
準備中
雨庭植栽ガイドライン
準備中
熊本県内の雨庭
くまもと雨庭パートナーシップで認定を受けている雨庭です。